ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
終わりだ。全部終わった。兄貴が俺の努力とかその他色々……全てを台無しにしやがった。
――――と思ったんだけど、赤い飛沫が飛び散った形跡はなく。
坂下の銃はヤツの後方に落下して、カシャッと甲高い音を立てた。
銃弾は坂下の脳天を貫通することなく、ほんの少し逸れて、壁に貼り付けてあったコルクの掲示板にめり込んでいた。
間一髪ってこのことだと思った。
心臓止まるかと思ったし。間一髪なんて言葉、大っ嫌いだ。ホモチックな宣伝でお馴染みの、ファイト一発の方が俺は好きだ。
――とにもかくにも一件落着。ミッションコンプリート。
兄貴の話では、建物の外に谷口さんたちや救急隊が待機してるらしい。
けどヒゲのやつが、俺と佐村、そして坂下の血清投与が先だとか何とかぬかして、胡散臭いアタッシュケースから、注射器やら小瓶やらを取り出し始めた。
「おいヒゲ、お前、注射なんかできんのかよ? 失敗して何回も刺したりしねぇよな? 神経傷つけたりしねぇよな?」
心配になって問えば、
「ゴチャゴチャうるせぇなー。命が欲しけりゃ、黙って針ブッ刺されろって、チキン野郎」
「っんだとぉー?」
助けを求めて兄貴を見れば、フッと口元を緩め、声を漏らさずに笑っている。
――――と思ったんだけど、赤い飛沫が飛び散った形跡はなく。
坂下の銃はヤツの後方に落下して、カシャッと甲高い音を立てた。
銃弾は坂下の脳天を貫通することなく、ほんの少し逸れて、壁に貼り付けてあったコルクの掲示板にめり込んでいた。
間一髪ってこのことだと思った。
心臓止まるかと思ったし。間一髪なんて言葉、大っ嫌いだ。ホモチックな宣伝でお馴染みの、ファイト一発の方が俺は好きだ。
――とにもかくにも一件落着。ミッションコンプリート。
兄貴の話では、建物の外に谷口さんたちや救急隊が待機してるらしい。
けどヒゲのやつが、俺と佐村、そして坂下の血清投与が先だとか何とかぬかして、胡散臭いアタッシュケースから、注射器やら小瓶やらを取り出し始めた。
「おいヒゲ、お前、注射なんかできんのかよ? 失敗して何回も刺したりしねぇよな? 神経傷つけたりしねぇよな?」
心配になって問えば、
「ゴチャゴチャうるせぇなー。命が欲しけりゃ、黙って針ブッ刺されろって、チキン野郎」
「っんだとぉー?」
助けを求めて兄貴を見れば、フッと口元を緩め、声を漏らさずに笑っている。