ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「皆人? どうした?」

兄貴が目の前に片膝をついて、俺の顔を覗き込んだ。



「胸がっ……苦し……」

そう答えるのが精一杯だった。



何だかしんねぇけど、手足も痺れてきた。何だよ、これ?


ヒゲのやつ、毒盛ったんじゃね?

……って、んな訳ねぇか。こんな時に、何、変な妄想してんだ、俺。



ゴトッ――


左側頭部に激しい痛み。



ああ俺、ぶっ倒れたんだ。死ぬの?



「まずい、ショック症状だ」


ヒゲの声が遠くに聞こえる。


何だよ、ショック症状って。まじショック。



朦朧とする意識の中、


「ああ、神様……」


兄貴の震える声が聞こえた気がした。



神頼みなんて、兄貴らしくない。


やっぱ、俺の妄想か……。






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