ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「ええっと……。連絡先はここに書いてある通りで間違いないですね?」
形式的に尋ね、彼女が頷くのを見届けてから、
「お隣さんに注意しておきますね」
そう伝え、ニンと無理矢理に営業スマイルを張り付けた。
「ええ、お願いします。その時は是非、うちに寄ってくださいね? お礼にお茶をご馳走しますから。ねっ? きっとよ?」
言って彼女は、A4用紙を持つ俺の右手にそっと触れた。
ムッチムチに膨れた指。その左手薬指にはプラチナリングが食い込んでいて、酷く苦しそうに見えた。
余計なお世話だろうけど。
「はぁ……。あっ、いや、お気遣いなく」
わざわざお隣さんちまで行かねぇし。電話で済ますし、そんなもん。
――とは言えない俺。
平和な日常が戻り、まるで何事もなかったように時は流れる。
坂下はもちろん実刑をくらったけど、睦月くんは犯行に関与してはいるものの、直接手をくだしてないってことで、執行猶予がついた。
現在の睦月くんは、中古品も扱う玩具のアウトレットショップの開店準備で忙しく、あの日の俺への告白は、当の本人はどうやら忘れているっぽい。
なんでも坂下たちと幼い頃よく語った夢が、玩具店を四人で経営することだったらしい。
形式的に尋ね、彼女が頷くのを見届けてから、
「お隣さんに注意しておきますね」
そう伝え、ニンと無理矢理に営業スマイルを張り付けた。
「ええ、お願いします。その時は是非、うちに寄ってくださいね? お礼にお茶をご馳走しますから。ねっ? きっとよ?」
言って彼女は、A4用紙を持つ俺の右手にそっと触れた。
ムッチムチに膨れた指。その左手薬指にはプラチナリングが食い込んでいて、酷く苦しそうに見えた。
余計なお世話だろうけど。
「はぁ……。あっ、いや、お気遣いなく」
わざわざお隣さんちまで行かねぇし。電話で済ますし、そんなもん。
――とは言えない俺。
平和な日常が戻り、まるで何事もなかったように時は流れる。
坂下はもちろん実刑をくらったけど、睦月くんは犯行に関与してはいるものの、直接手をくだしてないってことで、執行猶予がついた。
現在の睦月くんは、中古品も扱う玩具のアウトレットショップの開店準備で忙しく、あの日の俺への告白は、当の本人はどうやら忘れているっぽい。
なんでも坂下たちと幼い頃よく語った夢が、玩具店を四人で経営することだったらしい。