ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
そしたら乃亜は、膝の上のトートバッグの中を探り、そこから小さなペラペラの紙を取り出して机の上に置く。それを上から手で押さえて、すーっと俺の方へと滑らせた。



何コレ? 超音波画像? 今時、カラーなの? 医学は日々進歩してるんだね。


……って、違う。これって……。



「乃亜……もしかして……」


乃亜は、そこに映っている小さくて歪な楕円を指で差しながら、満面の笑顔で頷いた。



「俺の? 俺と乃亜の……赤ちゃん?」


乃亜は更に二回、力強く頷く。



「そっか、旦那が子どもっぽくて、将来不安……そっか、だよなぁ」


悔しいけど、彼女の相談内容に心の底から納得してしまう。



「ご主人に、子育て頑張るように言っておきます」

そう伝え、顔が燃えそうなほどの照れ臭さを、苦笑してごまかした。



机の上に置かれた乃亜の右手の上に、自分の両手をそっと重ね、

「キス……してもいいですか?」

わざとらしいほど余所余所しく尋ねれば、乃亜は静かに瞼を落とした。



旦那には内緒ね、なんて言いながら、身を乗り出してゆっくりと唇を合わせる。


俺って、本当に幸せ者……。


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