ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
と、部屋の扉をガンガン叩く音と共に、男の野太い声が響き渡り、俺の至福の時がブチ壊された。


「おーい、いつまで待たせんだ! 時間がねんだよ、早くしろっ!」


我侭な相談者だ。

というか、ここに来る相談者の9割9分が我儘で身勝手な人たちだけど。



離れ辛そうに何度も俺を振り返りながら、乃亜は渋々部屋を後にした。

俺の方がもっと辛いし……。



乃亜と別れた寂しさに打ちひしがれている所へ、容赦なく次の相談者が入室する。



何故だ。何故、組対課勤務のこの人がここに?



「よおー、久しぶりだなぁ、元気にやってっか?」

乃亜とすれ違ったはずなのに、それには一切触れず、ガサツで荒っぽくて品位の欠片もない挨拶を、野獣谷口は平然と口にした。



「用紙は?」

言って、右手を差し出せば、「そんなもんねぇよ」と当たり前のように返される。



予想通りだけど、頑張って言い返した。


「受付で申し込み用紙が貰えますので、そこに記入した後、それを持ってもう一度来てください」


「偉そうに……何様だよ?」


「相談センターの職員ですけど」


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