ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「ああ、めんどくせぇ。仕事だ、皆人。今すぐ着替えてこい」


言って谷口さんは、制服姿の俺を上から下へと舐めるように見て、「オモロいぐらい似合わねぇなー」なんてほざきやがった。



「俺もう、組対課じゃないんですけど。刑事ですらないんですけど」


「バカお前、警察の仕事じゃねぇわ、あっちだあっち」


どっちだ! と思うも、簡単に想像つくから嫌になる。



「龍が産休中だからな、代わりにお前がこき使われる訳だ」


「意味わかんねぇわ。産休中って何だよ? てか兄貴の代りが何で俺?」


余りに理不尽な要求に、思わず声を荒げてしまう。



「窪田さんのご指名だ。悪く思うなよ?」


「悪く思うわ! ふっざけんな! やっと平和を取り戻したってのに……」


ブツブツ文句をたれつつも、素直に従いロッカールームに向かう俺は、NOと言えない日本人(にっぽんじん)。


そして――

見張りのようについて来る谷口さんが鬱陶しくて顔を顰めるも、苦情を申し立てる勇気も度胸もないチキン野郎。


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