ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】


チャキ――


青年はおもむろに懐から銃を取り出し老婆の面前に突きつけた。


ああ……。

婆さんの心臓止まったらやっかい。



婆さんは、小瓶のラベルから視線をゆっくり上げ、自分に銃口を向ける男をポカンと眺めた。



「金を出せ」

男は呪文のように低く呟いた。


しばらくの沈黙。


「聞こえなかったか? 早くしろ」

もう一度男は静かに言い、クイと口角を上げる。



何? この違和感。

この男、強盗のくせに、やけに落ち着き払ってやがる。


それに、覆面も無し。

なんというオープンな……。目撃者は全員消すつもりか?


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