ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「石原雅に会わせて」


あえての素っ気ない態度で、用件だけを伝えた。


口を尖らせて拗ねて見せるところがまた……。

いや参ったね、ほんと。



「今はまだ面会謝絶です」

不貞腐れたまま答える看護師に、仕方なく身分証を見せれば、「ああ、そうだった」とようやく俺が刑事だということを思い出してくれた。


そして、一応納得はしたが、それでもしぶしぶといった感じで、チワワくんの部屋まで案内してくれた。



チワワくんの身体からは、いくつものチューブが伸びていた。

まだ、危険な状態であるには変わりないか。



ベッドサイドへ静かに歩み寄った。起こしてはいけないような、そんな気がした。



が、気配を感じたのか、チワワくんは薄く目を開けこちらを見た。そうして、目尻を無理に下げてみせる。


微笑んでいるつもりらしい。


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