ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「俺から話してやろうか?」


不意に背後から声を掛けられ、身体がビクリと跳ねた。

だから俺、チキンなんだって。


この低く重厚感たっぷりの声には聞き覚えがある。

いや、もちろん忘れたいけど。



恐る恐る振り返れば、

「よう、美少年。元気そうだな」

嫌味なほど色気のある微笑みを浮かべた男が、あたかも居て当然のようにそこに立っていた。



いつの間に部屋に入ったのか。

全く気配を感じなかった、くそっ……。



「色ボケシルバー、なんでここに?」


などとお約束のように尋ねてみたけれど、今こいつ、『俺が話そうか?』って言ったしね。


全ての事情を知っていて、ここに居るわけだ。


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