ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「確かに、そういうマイナス感情が事件を解決するとは思わねぇよ。けど、多少の緊張感は必要だろ?」


とりあえずは反論してみる。



「現場では、だ。今ここで、そんなもんは必要ない。

だが一旦現場に入ったら、多少の緊張感では確実に死ぬな」


言って、窪田は薄く笑った。



窪田の言っていることは正しいと思う。

負けを認めるようで面白くないけどね。



「そうだね」


しぶしぶ同意すれば、


「場所変えるか。全て教えてやる。言っとくが、命の保障はできねぇからな」


言い終えると、窪田はニッと一瞬だけ微笑み、すぐにまた真顔に戻すと、クルリと身を翻して俺に背を向けた。


そうして、病室出口へ向かう。



俺も窪田の後を追うようにして病室を出た。


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