ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】




――この男の口を封じなければ。


 
当然、石原はそう考えた。だが、ここで殺るのはマズイ。



この場は何事もなくやり過ごすか。



「蜂須賀さんの忘れものって?」


親しげに男の腰に手を回して柔らかな声音で問う。と同時に、石原は男のジャケットのサイドポケットから、携帯電話を抜き取った。



これに、人一人吹き飛ばすだけの爆弾を仕掛けて、後で男に返せば良い。



「そうだ、財布を……。あの人、サザエさんかよ、まったく」


すっかり気を許したのか、冗談すら口にし、男は部屋を見回した。


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