ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
通りに投げ出された俺が、意識を失いかけた時、

「チッ」

何者かの舌打ちが耳に届いた気がした。



残る力を振り絞り、瞼を持ち上げる。細く開けた霞む視界に、俺の傍らに立つ一人の男がぼんやりと映った。


端整な顔立ち、スラリと細く伸びた身体にダークなスーツ。そいつは恐ろしく整った顔を苦々しく歪めて俺を見下ろしていた。



誰? お前。



が、男はクルリと背を向けゆっくりと遠ざかる。



おい、待てって……。



俺の意識はプッツリ途切れた。






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