―罪―
 

そんな二人の会話に微塵も笑顔を見せないもう一人の男は、今日もどうでもよさそうに窓の外に視線をやる。



そしてそんな彼を私は極力見ないようにして、席に座り鞄を机の横に置いた。



何を考えているのか、わかりにくい彼は潤の友達で、いつも潤と一緒にいる。



優しくて、穏やかで、気がよく回り彼女を大切にする潤とは、正反対の印象に見える彼。



口数が少なく、笑顔を見せることも少ない彼は、いつも何を考え何を見ているのだろう?



人は未知の物や、理解しがたい物には必然的に好奇心が募ると私は思う。



「なあ、今日もバイトなのか?」



潤が彼女の座る席の前に座り、足を投げ出しながら聞く。



「ううん、今日はないよ」


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