―罪―
「じゃあ、駅前に出来たカラオケ行かねえ?」
「カラオケ?」
「正木と紗枝も一緒に……」
潤の何気ない風を装った言葉に、私が顔を上げると立っていた彼と目が合った。
一瞬だけ細くなった瞳が何を意味するのか。
迷惑なのか、そうでもないのか。
「……うん。私は、いいよ」
彼女が「私は」を強調してそう言うと、プリントから視線を彼に移した。
何かを期待するような眼で見つめる彼女と潤の視線に、正木が一呼吸おいて小さく頷いた。
「じゃあ決まりな、学校終わりにそのまま行こうぜ」
潤の満足気な声を聞きながら、私は彼の瞳の奥にあるだろうはずの感情を読み取ろうとしていた。