―罪―
そんな少し拗ねたような、どこか甘えたような彼の姿を見ながら、私の犯す罪がどれほど深いのかを考える。
握られる手から滴る蜜は、小川に流れどこへ向かうのか誰にもわからない。
それは私にも彼にも誰にもわからない。
人には必ず裏と表がある。
白と黒のように相対するそれは、正反対の位置にありながらバランスと調和を保つ。
白には黒。
表には裏。
そして罪には蜜。
罪は深ければ深いほど、その蜜は甘く私を惑わせる。
「ごめん、聞くよ」
笑ってそう言うと彼が手を出してきて、私の手を握り締めた。