―罪―
今日も橋から夕暮れに染まる街を見下ろす。
この場所を選んだのは私だった。
二人だけの時間を過ごせるこの場所は、街の一番上にありすべてを見渡せるわりに、誰にも見つからない場所。
削られた山に建ち並ぶ新しい家々には、まだ人は住んでおらず、これから迎えるだろう家主を静かに待ち受ける。
今日も手を繋ぎながら、夕暮れに染まりゆく街を見下ろす。
いつもは口を開かない彼が、珍しくしゃがんだまま呟いた。
「会えた」
「うん」
「雨だったのにな」
気だるげな彼の呟くような声が、朱く染まる街に沁みて消える。