―罪―
昨日は思いがけずに彼との時間を過ごせた事を、単純に喜ぶべきかそうでもないのか。
「嬉しい?」
悪戯に聞くと、返事はなく代わりに手を握られる力が僅かに強くなった。
抗議を意味するその手からは、相変わらず蜜が零れ落ちていて。
私の罪と、彼の罪はどちらが深いのか天秤にかけてみる。
いつもその答えはでないまま、時間だけが過ぎていく。
「明日は来ないよ」
そう言った私に彼が、面倒そうに柔らかな髪を掻き上げ呟いた。
「なあ」
「うん?」
「あいつは、どうしたいんだ?」