―罪―
 

昨日は思いがけずに彼との時間を過ごせた事を、単純に喜ぶべきかそうでもないのか。



「嬉しい?」



悪戯に聞くと、返事はなく代わりに手を握られる力が僅かに強くなった。



抗議を意味するその手からは、相変わらず蜜が零れ落ちていて。



私の罪と、彼の罪はどちらが深いのか天秤にかけてみる。



いつもその答えはでないまま、時間だけが過ぎていく。



「明日は来ないよ」



そう言った私に彼が、面倒そうに柔らかな髪を掻き上げ呟いた。



「なあ」



「うん?」



「あいつは、どうしたいんだ?」


< 21 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop