―罪―
 

気だるげに、そう聞く彼はやはり私より罪深いのかもしれない。



「言っとくけど、俺は紗枝なんか興味ねえぞ」



珍しく口数の多い彼の言葉に、満足する私の手から新たな蜜が滴り落ちた。



親友に余計なおせっかいをやかれている彼。



その親友の彼女とこうして手を繋ぎ街を見下ろす罪の蜜は、どれくらい甘いだろうか?



私は彼の甘い言葉を無視して、話を元に戻した。



「明日はバイトだから」


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