―罪―
小川の最終地点は知らなくても、いくつも架かる生活に不可欠な橋の最後は、当然のように住宅街の外れまであり、それは今でも増え続けている。
この街が大きくなり続ける限り、橋はこれから先いくつも架けられるだろう。
そしてここも最後ではなくなるのかも。
山から流れ出る小川の最初に架かる橋。
街から見ると最後の橋。
さらに山を削り住宅が立ち並べば、また同じ橋が架けられるだけ。
街の一番上にあると言っていいこの小さな橋で、私は罪を犯している。
アンティーク調の鉄柵の格子に腰をゆだねて、街を見下ろす。
歩幅で言えば、10歩ほどで渡り切れる小さな橋。
真ん中に低い街灯が立ち、その隣で立つ私の手を、しゃがんだ姿勢で同じく、柵に凭れる彼の手が握る。