―罪―
夕暮れの陽が街を柔らかく包みこむ、この瞬間がなにより綺麗で美しい。
「明日、雨かな?」
街を見下ろしながら、呟く私の言葉に彼は黙ったまま返してはこない。
それでも私は気にすることなく街を見下ろし、夕暮れの朱に染まる空と街を見つめ続ける。
繋がる手にこもる力は、強くもなく弱くもない。
街を見つめ続ける私は、彼を見る事はほとんどないけれど、それは彼も同じだった。
いつもしゃがんだ姿勢で同じく街を見つめている彼。
時々、鬱陶しそうに柔らかく茶色い髪を掻きあげる。
制服のシャツから覗く胸元には、鎖骨が浮き上がり、そこに揺れる革紐の先にはクロスのトップ。
細い身体から伸びる手足は長く、ゆっくりと気だるげに動く。