―罪―
新興住宅地の朝は活気に溢れている。
小さな子供達が、若い母親に手を引かれ、真新しいスモックを着て幼稚園へと向かう。
街の端に新たに出来た、小さいながらも近代的な駅へと急ぐスーツ姿の群れ。
入り組んだ街の至る場所で、顔を合わせた奥様達が立ち話を繰り広げる。
「おはよー、紗枝」
街の中心部にある高校も、年々生徒数が増加する一方で、教室が間に合わず教員用ガレージを縮小して、新校舎が増設されようとしている。
「おはよ」
「やだね、雨」
傘を差した友人に校舎前で会い、本当だと思いながら頷く。
「ねえ、英語の提出プリントやった?」