その日、地球は滅亡した
◎その日、時空を超えた
「暑い。」
峯岸心晴、18歳。
彼はクーラーが壊れた、蒸し暑い自室で高校最後の夏休みを満喫していた。
汗が頬を伝い、床へと落ちる。
宿題はもちろんひとつも手をつけていない。
こうも暑いとやる気が起きないのだ。
ごろりと寝返りをうち、テレビのリモコンをとると電源を入れた。
「ニュースばっかりじゃん。」
どのチャンネルを付けてもニュースばかりでつまらない。
心晴はなんかあったのか?と不思議に想いながら、
テレビに視線を向ける。
『無数の小惑星は確実に地球に向かって来ている模様です。なんと、一か月前から地球に衝突する事がわかっていたようですが、
国民を混乱させない為に、国家機密として取り扱っていたという事実が発覚しました。外国メディアの報道によりますと、今日午後0時2分16秒にアフリカ南部に衝突するという予想がでています。
小惑星は過去最大級の大きさで、無数あるということから地球に膨大な被害がでると予想されます。』
「...は?」
____これ、やばいんじゃないか?
ドクン、と心晴の心臓が鳴る。
ばっと起き上がると心晴は部屋を出て階段を駆け下りた。
バァン!とリビングの扉を開くと、母親と兄がこちらに視線を向ける。
「何よ、騒がしいわねえ。」
「テレビ!テレビ見た!?」
「ああ、小惑星のこと?」
母親は他人事のようにそう言うと、洗濯物を畳み始める。
「落ちるのはアフリカでしょ?日本は大丈夫よ。」
今までにも何回かあったでしょ?と余裕そうな笑顔を見せる。
そんな母親を見ると、不思議と落ち着いた。
何を一人で焦っていたのだろう、馬鹿馬鹿しい。
「これ食うか?」
ポッキーを差し出してきた兄から何本か受け取ると、ボリボリと食べながら
彼の隣へと移動してソファーにどかっと座り込む。
「テレビ、その話題ばっかでつまんねーよなぁ。」
兄は何回かチャンネルを変えるが、相変わらずニュースばかり。
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