その日、地球は滅亡した
*
「...なあ、慧。」
「何だ。」
「俺、いまだに理解できないんだけど...、」
「できないならできないままでいい。」
「...。」
自分の手を引いて歩く慧は、未来の自分。
不思議な感じだった。
兄と似ている雰囲気も、仕草も、自分だったからなんだと考えると
混乱してくる。
「慧は、未来の俺なんだよな?」
確認するように問えば、慧は心晴を見ずに頷いた。
「慧が未来の俺って、なんか、変な感じするし
やっぱり理解できない。」
「うん。」
「慧は慧だから、俺は気にしないようにする。」
「そうか。」
「うん。」
考えると、ややこしくなってくる。
余計な事をいろいろ考えて混乱する。
もしかして、慧は混乱させないためにずっと秘密にしていたんだろうか。
慧も俺と同じ経験をしたのなら、俺の気持ちは察してくれているはずだ。
そう考えて、ふと疑問が浮かんだ。
「慧...俺も、慧と同じ歳になったら、その、同じ事しなきゃ駄目なのかな。」
慧は立ち止まり、心晴を見て目を細める。
そして彼の頭にポン、と手を置いた。
「俺で終わらせるさ。」
「...。」