その日、地球は滅亡した
「何当たり前の事言ってんだよ。」
慧は土管から降りて心晴に歩み寄ると、彼の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「きっと、大丈夫だよ。」
「...うん。」
もう寝るか、と言い慧はタイムマシーンに向かって歩き出す。
心晴も慧の後を追って駆け出した。
追い抜き、慧よりも先にタイムマシーンに乗り込みシートを倒した座席に寝転ぶ。慧が隣で横になったのを確認してから背を向けてぽつりとつぶやく。
「さっきの、約束だからな。」
___絶対、未来を変えよう。3人で、生きて帰ろう。
先程の言葉を思い出した慧は うん と短く返事をして瞳を綴じた。
正直、この先どうなるかなんてわからない。
ただの口約束を守れるという保障もない。
けれど心晴は、慧の返事を聞けただけでも嬉しかった。
心晴は未来を知らない。
明日、何が起こるか想像もつかないのだ。
けれど慧は知っている。
すべてを経験して、今、2012年にいる。
「...約束、守れるかな。」
ぽつり、と慧は呟く。
その不安そうな声は誰にも聞かれることはなく闇に溶けて消えたのだった。