その日、地球は滅亡した


水道に向かい、眠気を覚ますために冷たい水を思い切り顔にかけた。

ひんやりとしていて気持ちいい。

意識がはっきりとしてきた。水を止めてタオルで顔をふき、ふう、と息を吐く。


(どうなるんだろう。)


ふと浮かんだ疑問。深く考えれば考えるほど嫌な事しか浮かばない。ふるふると首を左右にふり、大丈夫だと自身に言い聞かせた。

きっと、不安なのは自分だけじゃない。

気合いを入れ直し、タイムマシーンの前に戻ると慧が最後のメンテナンスをしていた。未空はそんな慧をぼうっと見ている。


「異常なし!」

「よかった。あ、心晴君準備できた?」

心晴に気づいた未空が声をかけた。彼は頷く。

「お前何も食べてないだろ。」

「あ、うん。なんか食べる気なくて。」

「少しは食べとけよ。絶対腹減るから。」

「...うん。」

そういわれて、心晴は袋からパンを取りだし口に含む。

何故だかまったく味がわからなかった。

きっと、心に余裕がないからだろう。



「心晴は食べながらでいいから話を聞いてくれ。」

「うん。」

「ま、知ってると思うけど

今日の午後0時2分16秒にアフリカ南部に小惑星が衝突する。」

「ってことは、アフリカまで行かなきゃなんないのか?」

「行くわけないだろ。

小惑星が地球に入った直後を狙って突っ込む。」

ごくり、思わず喉を鳴らした。

自分にできるのだろうか、と不安になる。

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