その日、地球は滅亡した


「具体的に言うと、

11時50分に地球の境目で待機して、11時55分に加速を始める。

で、11時57分に向かってきた小惑星と衝突してタイムスリップ。」

話の内容がぶっ飛んでる、と心晴は思ったが何もいわずに話を聞いていた。


「少しでも加速が遅れたり早すぎたりすると、その瞬間でアウトだからな。」

加速が遅れれば、タイムスリップする時間がずれて小惑星に衝突しそのまま死ぬ。早すぎると、衝突せずにタイムマシーンのみがタイムスリップする事になる。


想像以上に難しい。

「操縦はお前に任せたから、頑張れよ。」

「...慧は?」

「俺は、やる事があるから。」

何をするんだ?と聞いても慧は誤魔化し、教えてくれなかった。

きっと彼のことだ。何か考えがあるのだろう。

心晴の隣で未空は真剣な表情で話を聞いていた。

「心晴君、頑張ろうね!」

「お、おう!」


時計を見ればまだ10時。

少しだけ時間がある。

「何かしたいことある人ー。」

慧は軽い口調で2人に聞いた。

けれど、あと約2時間後に命を賭けた大がかりな事を成し遂げなければならないのだ。

不安と緊張で余裕がない2人は、慧の質問に答えられない。

黙っていると慧が そんなに緊張するなよ と苦笑する。

「緊張するに決まってるだろ!」

「慧さんは、なんでそんなに余裕があるんですか?」

「余裕なんてないよ。表情にだしてないだけで、緊張しすぎてヤバいし。」

「緊張してるように見えない...。」


「だから、見えないようにしてんだよ。

俺までお前らみたいな顔してたら更に不安になるだろ?」










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