その日、地球は滅亡した
あと少ししたら、宇宙から小惑星が落ちてくる。
時計を見れば11時52分。
あと3分で加速を始めなければならない。
「...慧さん、あの、私思ったんですけど。」
「ん?」
「タイムスリップする時代って、何時に設定すればいいんですか?」
「とりあえず、100年後に設定して。」
「でも、そうすると100年後に小惑星が落ちる事になりますよね?」
また、繰り返す事になるんじゃ...、と不安そうな声をだす。
「大丈夫だろ。100年後になれば技術も発達してるだろうし、小惑星くらいどうにかできると思う。」
その言葉を聞き、未空は黙り込んでしまう。
あまりにも無責任な言葉だったため、未空はなんていったらいいのかわからなくなった。
罪悪感が胸を締め付ける。
そんな未空の心情を察して、慧はさらに続けた。
「今日地球が滅亡するより、断然いいだろ。あと100年生きられるんだ。」
「...そう、ですね。」
何所か腑に落ちないが、こうするしかないのだ。
100年後の人たちがどうにかしてくれることを祈るしかない。
11時55分。
携帯画面に映し出された数字を見て、慧が静かに口を開いた。
「心晴、時間だ。」
それを合図に、思い切りアクセルを踏んだ。
ゴォォォオ、と音をたてながらタイムマシーンは加速していく。
圧力がかかり、息がし辛い。
スピードが速いため、景色が歪んでみえた。
暗闇に向かって凄まじい勢いで進んでいくタイムマシーン。
それに乗っている自分達はどうなるのだろうと考えると怖くなった。