その日、地球は滅亡した
ビー、ビー、と警報が鳴った。
タイムマシーン内が赤く点滅し、体が震える。
一瞬脳裏に死が過った。
ガコン、
音をたてて、天井までもが剥がれる。
突風が吹き、何かにしがみついていないと今にも体が外に放り出されそうだった。
怖い、怖い怖い怖い。
恐怖で可笑しくなりそうだった。
徐々にタイムマシーンは壊れていく。
未空はぎゅっと心晴にしがみついている。
体は震えている。
「けい、」
心晴がもう一度慧の名前を呼んだ。
慧も焦っているようで冷や汗を流している。
刹那、白い靄が現れた。
ドクン。
心晴の心臓が大きく跳ねた。
確かあれは、慧が説明していた病原体。
靄は破壊されたタイムマシーンに簡単に入り込んだ。
それを見た慧は、心晴ごと未空を強く抱きしめる。
「っ、」
靄は慧に触れた瞬間スゥ、と消えた。
「ッ、はぁ、」
ドクン、ドッドッドッド、
慧の心臓の鼓動は徐々に早くなっていく。
彼の腕には、黒い痣のようなものが浮かんでいた。
「慧!」
彼は苦しそうな表情で、無理やり笑顔を作ると心晴と未空をドンっと強く押した。そのままぐらりと体が傾き、外へと放り出される。
「未空を、護れ。」
その言葉を聞いた瞬間、心晴と未空の体は黒い渦...時空の歪の中に飲まれていった。
「慧!!!!」
心晴は思い切り彼の名前を呼んだ。しかし、慧はこちらを見なかった。壊れていくタイムマシーンの操縦席に座り、ただ前をまっすぐ見据えている。