その日、地球は滅亡した


心晴と未空が時空の歪に飲まれたのを横目で確認したあと、慧は大きく息を吸い込む。ガガガ、と小惑星がタイムマシーンを破壊し続ける。

慧は逃げるわけにはいかなかった。

未来通りなら、もうすぐ現れるはずだ。

まだ救わなければならない人物がいる。


そう考えた時だった。目の前を何かが横切る。

「峯岸!!」

聞き覚えのある声に、顔を向ければそこには同じタイムマシーンに乗って

こちらに向かって手を差し伸べている2019年の門倉友哉がいた。

「社長、」

叫ぶ気力は残っていなかった。

「峯岸!!!早くこっちに乗り移れ。」

慧は頷き入口へと向かい、おもいきり飛んだ。

友哉はしっかりと慧の手を掴みタイムマシーンへ引き上げる。

そしてハンドルをおもいきり左にまわし、小惑星から逃げるように近くの時空の歪の中へと逃げ込む。

後ろで、小惑星が慧が乗ってきたタイムマシーンに衝突し大きな音をたてて爆発した。

爆風のせいでタイムマシーンが激しく揺れる。

歪に完全に飲まれ闇が視界を覆う。





暫くすると、視界がだんだんとクリアになっていった。

ガコン、と音をたててタイムマシーンが着陸する。

「...峯岸、生きてるか。」

友哉に問われ、力なく はい と答える。

「全く、無茶しすぎだ。」

「...ははは、」

乾いた笑みを浮かべると、友哉は大きなため息をつく。

そして入口を開けた。













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