その日、地球は滅亡した
「馬鹿者。」
「社長に、言われたくっ、ねえよ。」
敬語を使うのをやめ、慧は言い返す。
もう、ここでは上司と部下という関係じゃない。
慧は よし、 と気合を入れ直し立ち上がった。
「お義父さんは、俺が助ける。」
冗談交じりでそう言えば、友哉は笑った。
「心強いよ。」
*
2019年8月20日。午後12時40分。
「...。」
愛しい人は今過去に向かっている。
自分にできる事は何かないか、と考えているときだった。
体中にあった違和感がすぅ、と消えたのだ。
驚いて腕を捲れば、あったはずの痣が消えている。
「っ、」
なんで、どうして。
___、もしかして。
未空は空を見上げる。
「...心晴っ、」
絶対、未空を救うから。
その言葉を思い出し泣きそうになった。
彼は過去の自分を救ってくれたに違いない。
ギリ、と自分の腕を強く握りしめた。
「...心晴、こんなの、嫌だよ。」
私はただ、あなたが傍にいてくれるだけでよかった。
私のかわりにあなたが傷つくなんて許せない。
(今、何所に居るの。)
一刻も早く会いたい。
ツツー、と一筋の涙が頬を伝って落ちた。