その日、地球は滅亡した
「本当なら、貴方たちも慧と一緒にタイムスリップする予定だったの。」
「え?」
「小惑星がタイムマシーンを破壊し続け、もう駄目だと思った時に私のお父さんが助けにきてくれたのよ。
急いでお父さんのタイムマシーンに移動するときに、病原体が現れて心晴に触れそうになった。それを私が庇い、私は不治の病にかかったの。
病原体に触れたせいで頭痛が酷くて記憶が曖昧なんだけど、
お父さんと慧、それに心晴と私は小惑星から逃れるために時空の歪の中に逃げた。そして100年後にタイムスリップしたの。」
淡々と述べる言葉を聞き、心晴は目を見開く。
「ってことは、慧は100年後にいるって事だよな?」
「それは、わからないよ。
貴方たちがここにいる時点で、私が知る未来とは違うんだから。」
「じゃあ、慧は今どこにッ...、」
「わからない。」
門倉は俯いた。
「...それに、一つ気がかりなことがあるの。」
「気がかりな事?」
「うん...私、病気のせいで体中に痣があったはずなのに急になくなったの。」
嫌な予感がした。
心晴と未空は表情を強張らせる。
「慧が、私のかわりに発病してるかもしれない。」
その言葉を聞き、心晴は表情を歪める。
時空の歪に飲まれる前に見た、慧の腕の痣を思い出した。
そういえば白い霧が現れた時、慧が自分と未空を抱きしめて、庇った事を思い出す。
「...慧の腕に、痣があった。」
心晴の声は震えていた。
「白い霧から、俺と未空を護ってくれたんだ。」