その日、地球は滅亡した


「その霧には触れただけ?それとも、体内に入り込んだ?」

「...たぶん、入り込んだと思う。」

それを聞いた瞬間、門倉の顔が青ざめていく。

「病原体が体に入り込んだ場合、病気の進行速度が早くなるの。

慧が、死んじゃう...、」


門倉の頬に涙が伝った。

未空は驚きのあまり声がでない。

「薬とかないのかよ!」

「ッ、ないよ。今の医療技術では治せないっ...私の場合は触れただけだから進行が遅くて、進行を遅らせる薬を飲んでたからいままで生きてられたの。」

「そんな...、」

こうしている間にも、慧の症状は悪化しているに違いない。

「とりあえず、慧に進行を遅らせる薬だけでも飲ませなきゃ。」

「...どうやって慧さんがいる場所までいくの?」

「あ。」

そういえば、自分たちはタイムマシーンに乗ってきていない。

門倉に視線を向ければ彼女は口を開く。

「研究所にあったタイムマシーンはもうないの。

慧とお父さん、それに未空が使用したから...作るのに早くても2年はかかるわ。」

つまり、タイムマシーンがない。

タイムスリップできないのだ。

目の前が暗くなった気がした。

どうすればいいのかわからない。


「...ねえ、心晴君。」

突然未空に呼ばれて、視線を向ける。

「本当に、未来を変える事、できたのかな?」

「...え?」

「2012年に小惑星が落ちなかったんなら、陽人さんや心晴君のお母さんは生きてるはずだよね?」

そういわれてみればそうだ。

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