その日、地球は滅亡した
「ワン!ワン!」
突然犬の鳴き声が響き、後ろを振り向けば野良犬が追いかけてくる。
「あーもう、こんな時に!」
最初襲われた時とは違い、心晴は冷静だった。
愚痴をこぼしながらも、足を速める。
「未空!」
自然と自分の手をとる心晴に、未空の心臓がどくん、と大きく鳴った。
一瞬、心晴が慧に見えたのだ。
慧は未来の心晴なのだからそう見えるのはしょうがないのかもしれないが
始めて会った時と比べて随分頼もしくなったような気がする。
迷いがない、まっすぐな瞳に思わず魅入ってしまった。
「未空、こっちであってるよな!?」
「...え、あ、うん!」
走りながらもぼうっとしてしまっていた。
慌てて返事をすれば心晴は よかった と呟く。
暫く走っていると研究所が見えてきた。
正面には警備員が2人立っていて、このまま突破するのは無理そうだ。
しかし後ろからは犬が追いかけてきている。
迷っている暇はない。
「心晴君、こっち!」
未空は心晴の手を引いて裏口へまわりこむ。
すると鉄の柵の下に、人1人通れそうな穴が開いていた。
「未空、先に行って。」
「うんっ、」
未空は急いでそこに身をすべり込ませて中へと入る。
心晴もそれに続いた。
犬は柵の外で吠えている。
なんとか研究所の敷地内に入れた2人はバレないように中へと侵入した。