その日、地球は滅亡した
物陰に隠れて、こっそりと中の様子を見る。
思ったより研究員は少なく、5人しかいなかった。
時間的に、昼の休憩に行っているのだろうか。
「...心晴君、あれって、」
未空が視線を向けた先には、少しボロボロになっているタイムマシーンがあった。
「タイムマシーン!?」
門倉の話を聞く限り、もう無いはず。
なのにどうして研究所にあるのだろうか。
物陰に隠れながら、タイムマシーンを見て何やら点検をしている研究員に近づく。
「市民から連絡があって町に行ってみれば、これだもんなぁ。」
「どうするんだよ。今朝テレビでタイムマシーンができたって報道されたばかりなのに事故起こすなんてさ。」
「まあ、死人がでなかっただけマシだったものの突然タイムマシーンだけ道路に現れるとかどうなってんだか...。」
「調査書を提出しなきゃなんないけど、はっきりいって俺達にわかるわけないよな。」
「同感。社長も心晴先輩も今日は休みだし、どうすんだよ...。」
研究員同士の話し合いを聞き、未空は小さい声で言った。
「もしかして、あのタイムマシーンは私が乗ってたものかな...。」
「その可能性はあるな。」
慧が言っていた通り、故障してひとりでにタイムスリップしたのだろう。
運よく元の世界に戻ってきていたらしい。
「あれ、使えるよな。」
「...うん。」
研究員達は点検をしながら修理しているようだ。
「修理が終わったら、隙をついて乗り込むぞ。」
「わかった。」
それまで暫く隠れていた方がよさそうだ。
物陰に身をひそめて、その場に座り込んだ。