その日、地球は滅亡した
「で、何をすればいいんだ?」
俺が慧さんに聞くと、う〜んと首をかしげる。
「わからない。」
そして、きっぱりと言い切った。
「はああ!?だって、お前が世界を救えって言うから俺は了承したんだろ!
救う方法もわかんねぇのに俺に頼むなよ!」
「あはは、ごめんごめん。」
笑いごとじゃない!
キッと慧さん...慧(こいつなんか呼び捨てで十分だ)を睨む。
「まあ、そう慌てるな。もうそろそろだから、逃げる準備しとけ。」
「え?」
ガウ!ガウ!
突然、犬の鳴き声が聞こえた。
驚いて振り向くと、そこには数十匹の野良犬が居てこっちに向かって全力疾走してくる。
「ほら、来た。」
「え!?なんで!?」
「心晴が特殊だからだよ。ほら、逃げるぞ。」
「ちょっと待てよ!特殊って、うわっ!」
ぐい、と慧に腕を引かれて無理やり走らされる。
動物に嫌われるような体質じゃなかったのに、なんで追いかけられなきゃいけないんだ。
慧は足が速かった。
ついていくのがやっとの俺は半分引きずられるような恰好で走る。
「動物は異端なモノに敏感だろ?」
「はぁっ、はぁ、」
すでに息を切らしている俺とは違い、余裕そうに説明しだした。
「たとえるなら、幽霊とか。」
「どッ、いう意味だよ!」
「心晴は一日先の未来から来ただろ?
この世界には、本来ならお前は存在しない。だから異端だって言う事を動物達は勘で察して襲ってくるんだよ。」
「っ、どうすんだよ!」
犬数十匹相手に戦えるほど、俺は強くない。
角を曲がれば、行き止まりだった。逃げ場はない。
慧は立ち止り、俺の手を離して頭をわしゃわしゃと撫でてきた。
「ちょっと待ってろ。」