その日、地球は滅亡した


修理はまだ完全に終わったわけではなかったが、こうなってしまった以上仕方がない。

「餓鬼!今すぐ降りろ!」

「きゃあッ!」

研究員が1人、タイムマシーンに乗り込んできた。

未空の悲鳴を聞いた心晴は振り向く。

隙をつかれ、心晴は犬に噛みつかれた。

「離して!」

腕を掴まれた未空は必死に抵抗するが、大人の力に叶うはずもなくそのまま引きずられるようにタイムマシーンから降ろされる。

研究員と動物に囲まれた2人は焦る。

(もう、無理かも)

そう思った時だった。


「何してるの?」

突然響いた女性の声に、騒がしかった場は一気に静まり返る。

「み、未空さん!?なぜここに!?」

社長の娘が来たぞ、と再びざわめいた。

心晴と未空は門倉の登場に大きく目を見開く。


「その子達、私の親戚なの。今すぐ離してあげて。」


威嚇している動物達を気にせず、門倉は静かに歩み寄ってくる。

「しかし、」

「この騒ぎの事、お父さんに報告しようかなぁ。」

研究所に動物と子供を侵入させてしまったことがバレれば減給どころでは済まされないだろう。

研究員は顔を青くさせて、未空と心晴を解放した。

「2人とも、ここは危ないから会社の客室に移動しよっか。」

門倉の言葉に、2人は力なく頷いた。

研究員達が襲いかかろうとする動物達をなんとか食い止めているすきに

3人は客室へと移動した。
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