その日、地球は滅亡した
*
客室へと案内されて、椅子に座る。
門倉は救急箱を取り出して心晴の腕を消毒し始めた。
「痛ッ、」
「なんであんな無茶をしたの。」
「...過去を、変えなきゃいけないから。」
ぽつりと呟いた言葉に、門倉は溜息をつく。
「私が言った言葉覚えてる?」
「「...。」」
返事をしない2人に、門倉は眉をさげて笑った。
「過去を振り返らないで、前だけを向いていて。
無茶な真似はやめてって、言ったでしょ?」
「...それ、どういう意味ですか。」
未空は顔をあげて、門倉を見た。
先程聞いたときは何も言い返せなかったが、今は自分でも驚くくらい冷静だった。
静かに質問すると門倉は表情を険しくさせる。
「そのままの意味よ。もう、過去を変えようとしないで欲しいの。
2012年に、地球は破滅寸前まで追い込まれたけど破滅したわけじゃない。
ちゃんと生き残っている人がいる。その人たちがなんとか世界を立て直したから今の世界があるの。
貴方たちが再び過去に行って、運命を変えようとすればこの世界がどうなるかわからないのよ。
必ずいい方へ進むっていう保障はない。」
「なら、門倉さんはこのままでいいのかよ!」
心晴は思わず声を張り上げた。
「俺は可能性が少しでもあるならそれに賭けたい。
大事な人たちを、護りたい!」
「現実を受け止めなさい。
死んだ者たちは生き返らないのよ。」