その日、地球は滅亡した





客室へと案内されて、椅子に座る。

門倉は救急箱を取り出して心晴の腕を消毒し始めた。

「痛ッ、」

「なんであんな無茶をしたの。」

「...過去を、変えなきゃいけないから。」

ぽつりと呟いた言葉に、門倉は溜息をつく。

「私が言った言葉覚えてる?」

「「...。」」

返事をしない2人に、門倉は眉をさげて笑った。


「過去を振り返らないで、前だけを向いていて。

無茶な真似はやめてって、言ったでしょ?」


「...それ、どういう意味ですか。」

未空は顔をあげて、門倉を見た。

先程聞いたときは何も言い返せなかったが、今は自分でも驚くくらい冷静だった。

静かに質問すると門倉は表情を険しくさせる。

「そのままの意味よ。もう、過去を変えようとしないで欲しいの。

2012年に、地球は破滅寸前まで追い込まれたけど破滅したわけじゃない。

ちゃんと生き残っている人がいる。その人たちがなんとか世界を立て直したから今の世界があるの。

貴方たちが再び過去に行って、運命を変えようとすればこの世界がどうなるかわからないのよ。

必ずいい方へ進むっていう保障はない。」


「なら、門倉さんはこのままでいいのかよ!」

心晴は思わず声を張り上げた。

「俺は可能性が少しでもあるならそれに賭けたい。

大事な人たちを、護りたい!」


「現実を受け止めなさい。

死んだ者たちは生き返らないのよ。」


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