その日、地球は滅亡した
真剣な、冷たい声音に心晴は肩を震わせた。
けどここで食い下がるわけにはいかない。
「ッ、俺は運命を変える。」
「慧もあなたと同じ事を言ってたわ。
けど実際は何も変わらなかった!それどころか、慧は行方不明になって、生きているのかもわからない。お父さんだって、戻って来ないじゃないッ...」
悲痛な叫びを聞き、心晴と未空は息をのんだ。
確かに、門倉の言葉は間違ってはいない。
けれど、諦めきれないのだ。
「だから、もう過去を変えるなんてやめて。
お願い、貴方たちは幸せになって。」
もう、失うのは嫌だ。
危険な目にあってほしくない。
門倉はぐ、と唇を噛み涙をこらえる。
そんな彼女を見て心晴はそっと親指で今にもこぼれそうな涙を拭った。
「...約束、したんだ。」
ぽつり、と呟く。
「...慧と未空と俺、...3人で、生きて帰ろうって。」
「ッ...。」
「だから、慧はどこかで生きてる。
俺は慧を信じてる、だから、前に進む。」
「...。」
「確かに、門倉さんが言った通り、過去を変えれば
未来はどうなるかわからない。
けど、可能性があるのに諦めてじっとしているほうが嫌なんだ。」
ぽろ、と門倉の瞳から涙が溢れた。
それを見て心晴は彼女をそっと抱きしめる。
「未空、大丈夫だから。」
自然と、心晴は門倉の事を呼び捨てにしていた。
門倉は一瞬目を大きく見開く。
心晴が、慧に見えたのだ。
安心させるように自分の背中を優しくとんとん、と叩く心晴を
門倉は強く抱きしめかえした。