その日、地球は滅亡した
「私は過去に行き、確かに研究を辞めさせた。
タイムマシーンの製作過程が記録されているディスクも処分したはずだった。
なのに、峯岸は突然、一枚のディスクを持って私の会社に入社してきた。」
「...あれは、兄貴から、」
「私が何度処分しても、あのディスクは私の元に戻ってくる。
過去を変えることによって罪を忘れようとした私への呪いかもしれないな。
過去を変える事はできない、すべてを背負って生きろと神に言われているような気がするよ。」
はは、とまったく心がこもっていない、乾いた声を発した。
慧は発熱し、熱くなっている体を友哉に向けた。
「峯岸。」
「...。」
「私が君を助けようと思ったのは、自分の為なんだ。
元は私のまいた種で、本来ならば無関係であったはずの君を巻き込み、
死なせたくなかった。これ以上、何かを背負うのは嫌だっただけだ。」
酷い大人だろう、と友哉は言う。
「だから、君には何があっても死んでほしくない。
生きてくれ、お願いだ。 もたない なんて言わないでくれ。」
友哉は慧の両肩を強く握った。
「私がすべて悪いんだ、すまない...峯岸。」
「...謝るな、よ。」
「...。」
慧は辛そうな表情を無理やり隠し、できるだけ精一杯の笑顔を見せる。
「社長、の、おかげで、みくに会えたんだっ、ゴホ、
だからッ、...ありがとう。」
じわり、じわり。
体中に痣が広がっていく。
それを見て、友哉は静かに涙を流した。