その日、地球は滅亡した
「未空、進行を遅らせる薬あるだろ?あれ、飲んだほうがいいよ。」
「でも、あれは慧さんのだよ。」
「3本あるから、一本くらい大丈夫だろ。」
「駄目だよ。」
未空は絶対に飲まないと言い張る。「未空。」心晴は飲むように進めるが首を左右に振るだけだった。
心晴は溜息をついて、視線を前に戻す。進行はそれほど進んでいないみたいだから大丈夫だろう。過去の未空は体内に病原体を取り込んだわけではないらしい。
症状がひどくなってきたら無理やりにでも飲ませようと考えなおした。
*
2人は3度目の2012年8月19日につく。タイムマシーンは研究所に近い場所に着陸した。降りて研究所に向かって走る。
携帯で時間を確認すると、試乗実験を始める一時間前だった。
これなら余裕で間に合う。
広場で、大型機械を準備している最中のようだ。
「待ってください!」
心晴は大声で叫んだ。その声に驚き、研究員と門倉友哉は振り向く。
「もしかして未来の心晴君と、未空か?また会えるなんて思ってなかったよ。ほら、数年前に故障したタイムマシーンに乗って私の元に来た時があっただろう?全く成長してないようだけど、君達はあのときの君達なのか?」
二回目の8月19日に聞いた言葉と全く同じ事を言う彼を少し怖いと感じた。
「実験はしないでください!実験は失敗します!」
「何を言ってるんだ?」
「お願いです。」
心晴は真剣な表情で友哉を見る。
「しかし...、」
「地球に小惑星が衝突する原因を作ることになるんだぞ!」
心晴は友哉の服を掴み、必死に止めようとした。
これには研究員達も焦りだす。なんとか心晴を社長から引き離そうとするが無駄だった。