その日、地球は滅亡した



「...私達はタイムマシーンの研究の為に莫大な金をつぎ込んできた。」

「そんなの、」

「今更やめるわけにはいかない。今日の実験はこれからのことを考えると必須なんだ。」

「っ!」

バキ、

心晴は思わず友哉を殴った。未空は何も言わずじっと彼を見ている。

「地球が滅亡してもいいのかよ!」

「何を言っているんだ?」

殴られた頬を手でおさえ、友哉は心晴を見る。

「大勢のひとが死ぬんだぞ!?」

「...。」

未来を知る心晴と、未来を知らない友哉。

友哉は納得がいかないような顔をしていたが、必死な心晴を見て渋々と研究員に合図を出した。


「...今日の実験はやめだ。」


その言葉に心晴はほっとした。

その時だった。

実験の為に運び出されていた機械に、電源が入る。

誰も機械には触れていないはずだ。

心晴は大きく目を見開いた。慌ててコンセントを抜くが動いたままだ。


「ッ、なんだよコレ!!」


友哉と研究員は唖然としていた。

目の前で起こっていることが信じられないのだろう。


「...過去が、修復されてるんだ。」


未空がぽつりとつぶやく。このままじゃ、同じ事を繰り返すだけだ。

キュイイイン、とタイムマシーンの試作品が動き出す。
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