その日、地球は滅亡した





___ 慧、ごめん。


「…っ、」

「どうしたんだ?峯岸。」


何かが、聞こえた気がした。


友哉は慧の様子が可笑しいことに気づき、声をかけた。彼は何かを悟ったように真剣な表情をしたあと、ふ、と口元を緩める。


「っ!?峯岸!?お前、体が透けてきてるっ…」

友哉が驚愕したような表情を浮かべ、慧の肩を掴もうと手を伸ばした。

しかし、手は肩をすり抜ける。

「峯岸!!」



何が起きているのかわからない友哉は焦る。

「たぶん…過去の…俺が、


消えた。と続けようとしたが、声にはならなかった。
過去の心晴が消えた為、必然的に未来の心晴は存在しなかったことになる。

友哉は言葉の続きを察したようで、ぎり、と奥歯を噛み締める。

「っ、すまない…」

慧は首を左右にふった。そして、ゆっくりと前方を指差した。指の先に視線をむけた友哉はこれでもかというほど大きく目を見開く。


「っ、一体、何が起きてるんだ…!」


何もない世界に色がつきはじめる。焼け野原だったはずの空間に、草や木が現れた。空が青に変わり、すべてに命が宿り始める。

地球の歴史が、目の前で、巡るましく進み始める。世界は蘇ったのだ。


運命が変わった瞬間だった。


「…運命が、変わった、のか?」


友哉はぽつりと呟いた。
気づけば何もなかったはずの場所は町に変わっていた。そして、今自分達がいる場所は、あの空地だった。

風景は少し違うものの、慧にははっきりとわかる。
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