その日、地球は滅亡した


「…こは、る」

お前も俺も馬鹿だ。愛しい人を残して、世界を救う為に…大切な人達を守る為に死を選ぶなんて。どっかの漫画の主人公でも、ヒーローでもないのに。

けどな、心晴。俺はまだお前を死なせるわけにはいかないんだ。お前は俺だけど、俺じゃない。お前は、俺の大切な人に含まれている。

一緒に馬鹿やって、笑って、泣いて。過去の自分なのにまるで友達のように感じていた。

俺は未空を愛している。けれど、心晴、俺はお前のことも好きだよ。だから、お前が消えることは許さない。



慧は徐々に薄くなっていく体を無理矢理動かし、ゆっくりと立ち上がる。

体中にある痣はかなり進行していた。しかし痛覚が麻痺してしまったのか、痛みは感じなかった。


「峯岸…」

慧の耳には友哉の声は聞こえていなかった。ふらふらと、一歩ずつ歩きだす彼は研究所を目指している。

ここは百年以上先の世界。研究所がまだ残っているとすれば、帰る手がかりがあるかもしれない。

友哉は慧に肩を貸すと、共に歩きはじめた。まわりの人の視線が突き刺さる中、前を目指した。
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