その日、地球は滅亡した


少年と青年は私から離れた。


「お前は、消えちゃだめなんだ。俺達の事は忘れたままでいい。」

「ッ、なによそれ...」

喉の奥に何かがつまったような感覚になる。瞳からとめどなく涙が溢れだした。

「じゃあな。」

2人は私をおいて、行ってしまう。いやだ、やだよ、行かないでよ。そういいたいのに言えなくてもどかしい。

「ッ、や、だ。」

子供が駄々をこねるように、私は「いやだ。」と繰り返す。

「こんなの、こんな運命、私は認めない!」

だんだんと、彼等の姿は見えなくなっていく。思い出さなきゃ、彼等を呼び止めるために、早く、彼等の名前を。忘れさせないで。


ズキン、ズキン、


頭痛をこらえながら、私は一歩ずつ前に踏み出した。彼等を追いかけたい。だんだんともやが広がっていく世界。ああ、私、覚めるんだとなんとなくわかった。けど、まだ覚めちゃだめだ。



ふと、右手に何か違和感を感じた。視線をうつせばさっきまで何も持っていなかったはずの手の中にプリクラがある。そこには、彼等の顔がはっきりとうつっていた。「ッ...。」


刹那、私の脳内に衝撃が走った。さまざまな記憶と感情が一気に押し寄せてくる。


一緒に未来を変えようとしていたこと。

戦いが終わったあと、また3人で会おうと約束したこと。

彼等とすごした日々が、私の中で大きく膨らんでいく。



そして、彼等は運命を変える為に自ら犠牲になったこと。

「...最後は、私が救う番、...。」

ぽつりと呟く。私は彼等を愛している。彼等と一緒にいたい。気付けば私は走り出していた。だんだんと壊れていく夢の世界の中を駆け抜ける。追いかけても追いかけても、縮まらない距離がもどかしかった。


私はすう、と大きく息を吸い込むとおもいっきり叫んだ。


「心晴!!!」




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