その日、地球は滅亡した








未空の体が透けていく。自分に残された時間が少ないのだと知る。痣は体中に広がっていた。病原菌が彼女の体の中の細胞一つ一つを侵食していく。

原因不明の病は確実に進行していた。未空は空地をめざし歩いていく。

(私、死んじゃうのかな)

ふと脳裏に過った。けれど不思議と怖くはない。死ぬという実感がなかった。というか、死なないような気がした。何故だか、慧や心晴に会える気がする。

確証はないが、直観がそう告げているのだ。




薄暗い道をとおり、人目に付きにくい空地につくとどっと疲労が襲ってきた。土管に手をつき、「はぁ、はあ」と呼吸を整える。痛みはないが、苦しい。



「門倉サン」

「...え?」

突然名前を呼ばれ、振り向いた。目の前にたっていた人物を見て目を見開く。

「陽人、さん?」

「心晴と慧の元に、行きたいか?」

時計に視線をうつし、陽人は真剣な表情で言った。彼は未空の体中に広がった痣を見ながら一歩一歩近づいてくる。

「行きたい、です。でも、タイムマシーンが無くて...私、もうすぐ消えるかもしれなくてッ、」

「消えるかもしれないから、心晴に告白したのか?」

「はい。」

まさか見られているとは思わなかった。未空は少し頬を赤くして、しっかりと頷いた。


がし、突然陽人は未空の腕を強く握った。痛みが走る。





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