その日、地球は滅亡した
*
未空の体が透けていく。自分に残された時間が少ないのだと知る。痣は体中に広がっていた。病原菌が彼女の体の中の細胞一つ一つを侵食していく。
原因不明の病は確実に進行していた。未空は空地をめざし歩いていく。
(私、死んじゃうのかな)
ふと脳裏に過った。けれど不思議と怖くはない。死ぬという実感がなかった。というか、死なないような気がした。何故だか、慧や心晴に会える気がする。
確証はないが、直観がそう告げているのだ。
薄暗い道をとおり、人目に付きにくい空地につくとどっと疲労が襲ってきた。土管に手をつき、「はぁ、はあ」と呼吸を整える。痛みはないが、苦しい。
「門倉サン」
「...え?」
突然名前を呼ばれ、振り向いた。目の前にたっていた人物を見て目を見開く。
「陽人、さん?」
「心晴と慧の元に、行きたいか?」
時計に視線をうつし、陽人は真剣な表情で言った。彼は未空の体中に広がった痣を見ながら一歩一歩近づいてくる。
「行きたい、です。でも、タイムマシーンが無くて...私、もうすぐ消えるかもしれなくてッ、」
「消えるかもしれないから、心晴に告白したのか?」
「はい。」
まさか見られているとは思わなかった。未空は少し頬を赤くして、しっかりと頷いた。
がし、突然陽人は未空の腕を強く握った。痛みが走る。