その日、地球は滅亡した
「心晴と慧は生きてるよ。門倉サンがあいつらの事を思い出したから、運命が変わったんだ。けど、思い出したのは門倉サンだけ。だから、この世界に存在しないことになっているあいつ等はこの場所に戻ってくることができない。」
「なら、どうすればっ、」
「2人のもとに、行けないこともないよ。」
その言葉に大きく目を見開いた。未空は掴まれていないほうの手で彼の服をぎゅっと握る。
「どうすればいいんですか!?教えてください!私、消える前に、最後に会いたいんです。あって、伝えたいことがっ、」
「行けば君も、世界に存在しないことになる。」
それでもいいのか?陽人は問う。「はい。」未空はしっかりと頷いた。それをみて陽人は優しく、そして悲しそうに微笑んだ。
「そういうと思った。もし、ここで君が 行かない って答えたなら俺は門倉サンの病を治そうと思ってたよ。」
彼は未空の腕を離し、ポケットから薬を取り出した。
「これ、ワクチン。」
「どうしてそれを...、どういうことですか?陽人さんは、一体、」
言葉を続けようとしたとき、陽人は未空の口元に指をあてた。
「秘密。」
慧そっくりの、笑顔。未空は目を見開く。
「門倉サンが感染した病のウイルスは、時空間にしかない原因不明のモノなんだ。その原因不明のウイルスは、時空間にしか存在できない。だから、この世界ではそのウイルスは生きていけないんだ。」
「?」
「ウイルスは、生きる為に人の細胞を己の細胞へと変化させ、
人の体内で菌を増殖し元の空間に戻ろうとする。」
「つまり、」
「門倉サンが完全にウイルスに支配されたとき、時空間へと移動する。」
簡単に言えばタイムスリップできるってことだよ。と陽人は言う。
「だから大丈夫、門倉サンは2人に会いに行けるよ。」