その日、地球は滅亡した
◎その日、僕達は存在した
暗いくらい闇の底のような場所だった。何も見えない、感じない。ここがどこなのかわからない。けれどなんとなく、時空間と“感じ”が似ている。
「ここ、どこ...。」
_俺はあのとき、死んだはずだった。試作品を破壊し、過去を変えたはずだ。どうしてここに存在しているんだろう。もしかして、死後の世界?
けど、三途の川なんてないし綺麗なお花畑だって見えない。(もしかして地獄?)地獄行きになるような悪い事はしてないと思うけどなあ、と考えながらとりあえず歩いてみる。地に足がついていないような、ふわふわした感覚が気持ち悪い。
その時、突然背中に温かい感触が広がった。この感覚、知ってる。
「だ、誰だよッ...」
声が震えた。もう、一生感じる事はないと思っていた温度が体中に広がる。振り向きたいけど、誰かが抱きしめる腕が強すぎて身動き取れなかった。誰かの体も震えている。
「こはる、」
その声を認識するのに数秒かかった。「け、い?」確認するように問えば誰かは力を緩める。その隙にばっと離れて振り向けば目の前には慧がいる。
ありえない、と思った。
「慧!」
おもいきり抱き着き、ぎゅう、と彼を抱きしめる。自然と涙腺が緩み涙がとめどなく溢れた。
「ぅわあああああっ、」
おもいきり声をあげて泣く。羞恥を忘れて、ただただ泣いた。そんな心晴をぎゅっと抱きしめかえし慧も涙を流した。
怖かった、寂しかった。どうすればいいのかわからなくて、世界を、未空をまもりたくて。運命をかえなきゃって思って。また、慧に会いたくて。言いたいことがありすぎて、何がなんだかわからなくなった。
確かなのは、今、目の前に慧がいること。
「心晴、ごめんな。」
「っ、」
「お前を巻き込んで、本当に、ごめん。」
「いまさら、ッ、」