その日、地球は滅亡した

└8月19日の恋








「はぁ。」

俺って、なんて馬鹿なんだろう。

公園のベンチに座り、ぼうっと空を見上げた。

時計を見れば夕方3時。

未だに少しだけ震えている手を見て、ため息をつく。


___地球を救う覚悟はあるか?


あの質問に俺は 無い と言ってしまった。

俺はどうせ死ぬのに、地球の為に命を張って小惑星に突っ込むなんて

できるわけない。

家族や友達を護りたいとは思う。

けど、命を張る勇気はない。

自らの命を犠牲にしてまで、護りたいとは思わなかった。

正直、怖いだけだ。

無い、と言った時の慧の表情は感情が読めなかった。

ただ、一言。

『そっか、ならいいや。』

と言って彼はタイムマシーンを空き地に置いたまま何処かへ行ってしまったのだ。

うん、意味わかんない。

救えとか言ってたクセに、俺が 覚悟は無い と言った途端に興味を無くしたような瞳をして姿を消してしまうなんて。

「薄情すぎるだろ...。」

頼れる人なんて、今の俺には居ない。

慧しか、いないのに。

これから大人しく地球が滅亡するのを待つしかないのか。

目を片手で覆い、泣きそうになるのを堪えた時だった。


「あ、心晴君!」


聞き覚えのある声に顔をあげれば、少女は俺の元に駆け寄ってきた。

「...未空、さっきぶりだな。」

「そうだね。...何かあったの?」

未空は泣きそうな俺の顔を見て、心配そうな表情を見せた。
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