その日、地球は滅亡した
お母さんと私はその会話を聞いて目を丸くした。
人間が乗っても大丈夫だという保障はどこにもない。
「...そんな、危ないわよ。峯岸さんにもしものことがあったら...」
「大丈夫です。これまでの動物実験のデータでは____、」
そう、説明をしだした峯岸さんを私は呆然としてみるしかなかった。
どうしてそこまでタイムマシーンにこだわるのかが分からない。
もしもの事があったら、峯岸さんは戻って来られないかもしれない。
そう思うと、どうしようもなく怖かった。
「っ、大切な人が居るんでしょ?」
私は峯岸さんを止めたかった。
私がそういえば、峯岸さんは再び視線をこちらに向けてくる。
「いるよ。」
「だったら、行っちゃだめだよ!ちゃんとこっちに戻って来れる保障は何処にもないのに、もしっ、峯岸さんに何かがあったら...、」
「未空!」
突然お父さんが私の名前を叫んだ。
びっくりして目を見開くと、向こうに行っていなさい。と低い声音で言う。
有無言わせない言い方に、私はたじたじになった。
「...これは、仕事の話だ。子供が口出しすることじゃない。」
そう言われてしまえば何も言い返せない。
ぐ、と押し黙り私は泣きそうになるのをこらえてリビングを出て行った。
自室に戻って、ベッドに寝転ぶと枕に顔をうずくめる。
私は峯岸さんが好きだ。一目惚れした。
けれど、彼には大切な人がいる。
諦めなきゃいけないのに、そう簡単にはできない。
それに、
___タイムマシーンの試乗なんて、危険すぎる。
大切な人がいるならなおさら、そんな危険な事はしてほしくない。