その日、地球は滅亡した
「俺は峯岸心晴。」
男の子はそう名乗った。
私はまじまじと彼を見つめる。
(...過去の峯岸さんも、格好良いなあ)
目の前の峯岸さんは同じ歳くらいだし、
名前で呼んでもいいかな?
私は、少し図々しいと思いながらも、口を開く。
「心晴君って、呼んでいいですか?」
「あ、うん。」
あっさり了承してくれたことに感動しつつ、
私はへらりと笑う。
「あ、思い出した!」
「え?」
「いや、未空が俺の夢の中にでてきた女の子に似てるって事思い出して。」
初めて未空、と呼ばれてドキリと心臓が跳ねる。
「私が夢に?」
それを悟られないように、平常を保ちながら自然に質問し返すと
彼は頷く。
過去の峯岸さ、...心晴君は何かが腑に落ちないらしく
難しそうな表情を見せる。
(目の前にいる心晴君も、タイムスリップしてきたのかな?)
何時の次元からタイムスリップしてきたのかわからないが、
タイムスリップしてきたと考えれば、先ほどの砂場での出来事は納得がいく。
「俺、そろそろ帰るな!ホント、ありがとう。じゃあな!」
考え込んでいると、
無理やり笑顔を作って別れを告げた心晴君は、手を振って公園を出ていく。
そんな彼の表情を見て、ツキンと胸が痛んだ。
(...とりあえず、私は峯岸さんを探すことを優先しよう。)